「ふたりの5つの分かれ路」と「アレックス」

François OZON(フランソワ・オゾン)監督の”5×2 – Cinq Fois Deux”『ふたりの5つの分かれ路』をシャンテシネで見ました。
私が初めて見た彼の映画は、ショートフィルム”UNE ROBE D’ETE” サマードレス(1996)。
一言でいえばゲイ青年たちのちょっとほっこりする短編です。
その後、シャルロット・ランプリング主演の”SOUS LE SABLE”や、
カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、ファニー・アルダン等のフランス大女優を これでもかと集めた”8 FEMMES”(8人の女たち)などで、人気の監督になりました。
『8人の女たち』は、50年代を意識したファッションやインテリアも楽しくて、 女優たちの素朴な歌がいい味を出していました。

『ふたりの5つの分かれ路』は、時間をさかのぼりつつ展開される、夫婦の物語。
大げさな盛り上がりがなく、一貫して淡々とした調子なのがリアル。
ハリウッド映画系が好きな人にはおすすめしないタイプの映画です。
この作品にもやっぱりゲイのカップルが出てくるんですが、あくまで普通の恋人たちとして
さらりと描いているあたりがオゾン監督らしいと思いました。
ヴァカンス村のショーのシーンや、美しい海のシーンが印象に残っています。

ヴァカンス村といえば、パトリス・ルコント監督のコメディ映画『レ・ブロンゼ』シリーズを真っ先に思い出します。
フランス人の笑いのツボを押さえているせいか、フランスでは人気です。

「時をさかのぼる」という点では、 モニカ・ヴェルッチとヴァンサン・カッセル夫妻主演、
GASPAR NOE(ギャスパー・ノエ)監督の『アレックス』を思い出します。
原題の”Irréversible”は、ひっくり返せない、という意味。
うっかり地下通路を通ったがために変態に暴力を振るわれてしまう美女と、
怒り狂って復讐に行き、人生を狂わせてしまうその恋人…。
そんな悲惨な現状から始まり、徐々に平穏で幸せだった時点までさかのぼっていくという、
意地悪なまでにブラックで、やるせない気分になる映画です。
NOE監督は、肉包丁を口の中に突っ込むという
妙に生々しく恐ろしいシーンでも話題を呼んだ”CARNE”『カルネ』で知られる
映画マニアに人気の監督。
彼の作品は毎回なぜか映画館で見てしまい、そのたびに重い気分になっています。
やめておけばいいのに:D

フランソワ・オゾン オフィシャルサイト

03/10/2005

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