とりあえず早くフランス語で話せるようになるには

発音ボタンを押すと、フランス語音声が再生されます(マナーモードと一部ブラウザには非対応です)

最近は変わりつつありますが、日本の学校の外国語授業は、教科書を使って語彙と文法とスペルを覚えたり訳したりするのが定番でした。語学は面倒な暗記を強いられる、というイメージを持っている人もいると思いますが、こういうやり方は世界共通ではありません。
「もっと知りたい」と思った時に知識を身につければ、喉が渇いた時の水のように吸収できるのに、「暗記しなきゃいけないタスク」だと思っていると、嫌なものと感じてしまいます。
辞書や文法書、単語帳などは、大勢の体当たりな試行錯誤と努力で作られた便利道具で、昔の日本にタイムトラベルで持っていったら、貴重な暗号解読書とされるはずの宝なはずなのに、です。

会話は簡単

日本では、発話や聞き取りが苦手で「何年も授業を受けたのに全然話せない」という人が多いですが、海外では、逆のパターンの方が圧倒的に多いです。フランス語をとても流暢に話すドイツ人、スペイン人やスウェーデン人などのペーパーテストの点数が異様に低くて、最初はよく驚きました。
会話が得意な理由として、母国語と共通点がある、メディアや街などで聞き慣れている、というのもありそうですが、音・会話中心で進む授業も多かったので「話すくらいなら簡単だけど、文法やつづりは苦手」だと言っていました。

日本の学校の授業が文法・読み書き暗記中心だったのは単に、発音や会話を教えられる先生が少なかったせいでしょう。読み書きなどは、先生によってバラツキが出にくく教えやすいので、教育機関側には好都合ですが、学ぶ側にメリットはありません。
今はネットで外国語が見聞きし放題で、外国語学習アプリ(特に英語)なども多いので、近道を通った方がいいと思います。

聞き取り・発音を真っ先にするメリット

1. 日本語と外国語との違いが大きいから難しいというのもありますが、もし授業で、音・会話学習を先にやっていたら、挫折する人の割合は減り、「話すくらいなら簡単」という人が何倍にも増えていたはずです。

2. 子供の頃は誰でも簡単に、母国語にない音を吸収できますが、大人になると聞き分けも発音も難しくなります。人の脳はそういう仕組みだそうで。実際いろいろな国の人を見ると、実感します。
特に大学から始める場合などは、一刻も早く耳を鍛えた方が得です。

3. 先に文法や語彙を丸暗記するのは、クイズの答えを先に見てしまうようなもの。
辞書などの情報源がない時代に外国語を理解するには、一から全て謎解きが必要だったことでしょう。大変だけど楽しそうです。自分で推理して見つけた答えは、絶対に忘れないでしょう。
公式を覚えていれば算数の問題の答えを簡単に出せるのと同じで、文法や語彙を暗記しておけば正解が出せますが、自分で法則や意味を推測して解明するという、謎解きゲーム的な楽しみを味わう機会はなくなります。無理に暗記から始める必要はないと思います。

世界地図や偉人の名前は覚えられない子供が、ゲームの地図や登場人物のことには詳しかったり、クイズ形式にしたことだけよく覚えていたりするように、印象に残ると(優先順位が高い大事なものだと脳が判断するのか)無理せず記憶されます。
それと同じで、話の最中に出てきた知らない単語の意味などを、状況と文脈から推測しておき、後で調べると「やっぱり!」や「なるほど!」と脳内で何かがパーンと弾ける感じがして、さくっと頭に入ります。
日本語を使わずに外国語を外国語だけで学べる語学学校や教材、留学は、謎解き問題が発生しやすいので効果的です。しかも、日本語を介さないようにしていると、目の前の状況やイメージから、直接外国語にする癖がつき、話しやすくなります。

話すだけなら、文字はいらない

語学は文字でするものだと思っている人もいるかもしれませんが、そうでもありません。識字率が低い時代のことや、かな・漢字の読み書きができなくても流暢に日本語を話す外国人もいますしね。
まぁ、学校で習っている場合、目先のテストには困るでしょうが… 習得に関しては、先に会話(音)、後で文字(読み書き)という順にした方が、メリットが大きいです。

フランス語の動詞活用も、会話用なら案外シンプル

フランス語を含むラテン系言語は、主語に合わせて動詞が変化(活用)します。フランス語の動詞活用は6通りあり、「フランス語が難しい」と言われる理由の一つとなっています。
学校の授業で、まず動詞活用表が出てきて、テストでつづりを書かされ、嫌になって挫折する人もいました。
が、6種類というのは、あくまでスペルの話。会話だと、だいぶシンプルです(英語ほどではありませんが)。
以下は、marcherの現在形です。marcherは、語尾が「er」で終わる「-er動詞」の一つで、「歩く」という意味です。

  • Je marche
  • Tu marches
  • Il (Elle) marche
  • Nous marchons
  • Vous marchez
  • Ils (Elles) marchent

タップして音声を再生してみてください。主語がJe(私)、Tu(君)、Il(彼)、Elle(彼女)、Ils(彼ら)、Elles(彼女ら)の時の動詞の発音は、全部同じなので、
発音上は、これと、Vous(君たち/あなた)と、Nous(私たち)の、計3パターンだけです。
さらに、親しい(tuで呼び合う)間柄では、Nousの代わりにOn(←動詞活用はIl/Elleと同じ)を使うことも多いので、いったんNousも切り捨ててしまえば、2種類だけでいけます。

この動詞に限らず、大抵の場合、発音を2〜3通り覚えればOKなわけで、動詞活用の丸暗記に使う時間が半分以下になり、サクッと先に進めます。
また、文語的な単純過去時制(Passé simple)など、教科書に載っているけど日常では使われないものもあります。フランス語で小説を書く場合や、フランス語のテスト対策を除けば、正確に覚える必要はなく、見れば分かる程度で読書もOKです。
そうやって会話に不要なものを減らすと、スタート時のハードルが下がると思います。
(かつては動詞を活用せず原形いっちょで乗り切るツワモノもいて、違和感はあるけど意思は疎通できるという話を聞いたことがあります。今なら翻訳アプリで話した方が手っ取り早そうですが…)

話せるようになるための勉強

最初は、音中心で勉強した方が、メリットがある… ということで、フランス語圏の先生や友達がいればベストですが、自力でできる勉強の順番をまとめると、こんな感じです。

  • 子供なら、音を聞く。大人なら、それプラス、発音クラスや教材で発音を勉強する。
  • フランス語で歌う。
  • 日本語なし(会話教材、映画、ドラマ、音楽、動画、ラジオ、旅行、留学など)でフランス語を聞き、意味を推察してから、後で答え合わせする(字幕があるものは、答え合わせが簡単)
  • 言いたいことを言えるように、使えそうなフレーズや単語を集めて、使い慣れる。
  • モチベーションが上がったら、読み書き。日記などを書いたり、読みあさったり。

iPhone, iPadやMacなどのSiriや、Googleなどの音声認識機能でフランス語を入力すれば、簡易発音チェックにもなります。
↓のように、母国語を使わずに学習でき、音声認識機能で発音練習できるソフトもあります。(別ページ 高校生以上の大人向け発音上達方法に詳しく書きました。)

フランス語会話教材

慣れてきたら、映画や本、記事、音楽、テレビ、ラジオなどから単語やフレーズを収集できますが、最初のうちは、すぐ使えるものを教材でストックしておくと、モチベーションが上がりやすくなります。

しっかりマスターするつもりの場合や、留学する予定がある場合は、最初からフランス語オンリーの教材を使った方が、長い目で見て効率がよく、メリットが多いと思います。

日本語を使わない外国語学習ソフトの元祖的存在「ロゼッタストーン」や、フランス語で学べるテキストについては、別ページで紹介しています。

・・・とはいえ、まだやる気がない人や、自分で調べるのが苦手な人や、日本語で答え合わせしたい人などには、日本語教材があってもいいかもしれません。日常でよく使うフレーズがギッシリ詰まった音声付き参考書や、言いたいことを文章にする練習ができる参考書がおすすめです。

発音について、10代後半以上の大人になると、耳だけで学ぶのは限界があり、音の出し方を頭でも理解すると近道です。
日本語の教材で学ぶ場合は、下記の本が分かりやすいです。カタカナ読みで覚えることだけは避けることをおすすめします。

やさしいフランス語の発音
01/02/2018

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