『ソドムとゴモラ』の女王役から、Federico Fellini(フェデリコ・フェリーニ)の『8 1/2』(1963)、『La Dolce vita 甘い生活 』(1960)の脇役まで、フランスだけでなくイタリア等の映画にも沢山出ていますが、中でも美しさが際だっているのは、画家Modigliani モディリアーニの人生を描いた白黒フランス映画『Les Amants de Montparnasse モンパルナスの灯』(1958)。モディリアーニを演じるのは、フランス俳優にしては珍しいほど美しい喜劇俳優GERARD PHILIPE(ジェラール・フィリップ)で、ANOUK AIMEEはその恋人役。
大好きな二人が主演している上、監督はJacques Becker ジャック・ベッケル。贅沢です。
二人の透明感ある美しさ、一コマ一コマ美しいモノクロ映像、やるせないストーリー、メランコリー、異様な静けさ。ゾクッとします。
Claude Lelouch(クロード・ルルーシュ)監督の映画『Un homme et une femme 男と女(1966)』もアヌーク・エメの代表作ですね。
ジャン=ルイ・トランティニャン演じるカーレーサー(幼い息子を残して妻は狂死)と、アヌーク演じるスクリプトガール(幼い娘を残して夫が事故死)が好意を抱きあうけれど、女は亡き夫が忘れられず…というストーリー。
グレーがかったブルーと懐かしい感じの暖色が印象的な美しい映像、軽妙でユーモアたっぷりのセリフ、アンニュイな雰囲気、記憶に残る楽しげなシーン、音楽、キャスティングなど、いい映画だなと思います。
ルルーシュ監督作品は音楽が大げさすぎると思うこともあるんですが、この映画は「ダバダバダ」のテーマ曲を始めとするFRANCIS LAIの音楽に、ボサノヴァ大好きフランス人ミュージシャンPIERRE BAROUH ピエール・バルーのフレンチボサが心地よさを加えています。この映画が当時のフランスでのボサノヴァ流行を決定的にしたというのも納得です。
ピエール・バルーが演じる元夫と、アヌーク・エメが雪の中を転げまわって遊ぶシーンはすごく楽しそう。夫婦生活を回想するシーンは幸せな感じで、撮影後二人が実際に結婚したのも納得できます。魔法が切れたのか、まもなく離婚してしまいましたが。
『男と女』の撮影の種明かしのようなこともしている続編 “Un homme et une femme, 20 ans deja” 『20年後』(1986)の方は、好みではありませんでしたが、ある意味ではおもしろいと思います。
十代頃から活動を始めたアヌーク・エメは、マイナーなところでは、二十歳の頃にPaul Grimault(ポール・グリモー)監督のアニメーション映画 “La Bergere et le ramoneur” 『やぶにらみの暴君 』(1952)の声を担当したりもしています。
(この作品は作者としては不本意だったそうで、のちに『Le Roi et L’oiseau 王と鳥』(1980)が完成作として制作されています。ポール・グリモー監督のアニメーションは色使いも絵も好きで、おもしろいです。
『天空の城ラピュタ』に似ていて、偶然の一致だったら逆に怖い…と思って見ていたんですが、宮崎アニメはポール・グリモー作品を好きで、影響を受けているんだそうです。納得。)
ところで、『男と女』のクロード・ルルーシュ監督の『愛と哀しみのボレロ』等に出演しているEvelyne Bouix エヴリーヌ・ブイックスはアヌーク・エメに似ているような…
たしか「男と女」の続編で母娘を演じていましたよね。監督の好みなのかな
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