パリで行ったLa CigaleでのStacey Kentライブのメモ

大好きなジャズヴォーカリスト Stacey Kentのライブがパリで行われると知って、フランス行きの航空券より先にライブチケットを予約して、行ってきました。忘れてしまうのでメモしておこうと思います。

この数日間のライブの音源が、後日アルバム(Dreamer In Concert)としてリリースされました。
2000年代からせっせとステイシーのアルバムを買い続けている私にとっては嬉しい偶然:)

お気に入りのステイシー・ケントのアルバムについては、音楽そぞろごと – Stacey Kentにメモしています。

La Cigale

Pigalle ピガール駅のそばを通って大通りの北側の道路を少し歩き、La Cigale ラ・シガールに到着。開場前から人が並んでいました。

  • 重厚な赤いドア
  • 階段の装飾
  • Plafond 天井
  • ステージ ステージと1階席を、2階の入り口そばから見下ろしたところ

重いドアを押して中に入り、案内係にチップを渡して着席。
ドアや階段の手すりなど、レッドとブラックが効いていて、なんだか世紀末のデカダンスっぽい雰囲気が漂う内装です。

予約したのは2階のS席。ちょっと失敗でした。
外と1階は春で涼しいんですが、上階は熱がこもって暑い、あつい!
途中休憩の時、ドリンクバーに行ったら、冷たいものを買う観客でいっぱいでした。
同じS席でも、1階とは快適さに大差があります。このラ・シガールで席を予約される時は、1階席をおすすめします。

あともう一つだけ残念だったのは、ステイシーが最後に「みんな、写真撮っていいよ」と言ってくれたのに、カメラを持っていかなかったこと。
入口でカメラをいい加減な小屋に預けさせられたニースのジャズフェスを思い出して、あえて持っていかなかったんですが、携帯カメラじゃ足りませんでした。

さて、ライブメモです。

開始は20h30。満員です。MCなしでまず3曲演奏。

  • The Best Is Yet To Come (Carolyn Leigh / Cy Coleman)
  • It Might As Well Be Spring (Oscar Hammerstein II / Richard Rodgers)
  • Ces Petits Riens (Serge Gainsbourg)

フランスの音楽に今も影響を与え続けるセルジュ・ゲーンズブールの曲を歌い終わったところで、ステイシーの挨拶が入ります。

初ライヴ盤の録音の場所をパリにしたのは、まぁ…そういうこと :)

理由はわかるでしょう?という感じ。フランス好きなのが伝わってきます。

La Cigaleを選んだのは、歴史もあって美しくて雰囲気もすてきだし、それにホットだから…
ホットといえば、暑いけど皆さん大丈夫?

会場は苦笑い。
そして、”こんなすてきなメンバーと演奏できて本当に幸せ”といいながらメンバー紹介。
特にサックス奏者で夫のJim Tomlinsonへの愛情と尊敬の言葉は、ライヴ中に何度か出てきました。

  • If I Were A Bell

の後、

次はジム・トムリンソンとカズオ・イシグロによる新曲です。心を打ち砕いて…傷つけて、同時に癒してもくれるような作品で、作ってもらってとても感動しているんです。

…そんな紹介で始まったのは、悲しいけどどこか明るさのある曲でした。

  • Postcard Lovers (Kazuo Ishiguro / Jim Tomlinson)

今日来てくれた皆さんと特別に何かを共有したくて…

と、可愛い話をしてくれます。

以前と配置を変えたの分かります? 今は私が夫のこっち側に立ってますよね。
彼は演奏の時よく動くんですよ。で、こっち側からだと(楽器と体が)SとKの字みたいに見えることがあって、私のイニシャル(S.K.)発見だ!って思ったんです。
小さくてばかばかしいけど、誰にも言ったことない話だから特別でしょ。

…笑いと拍手でいっそうなごやかな雰囲気に。

  • Breakfast On The Morning Tram (Kazuo Ishiguro / Jim Tomlinson)
  • They Can’t Take That Away From Me (Ira Gershwin / George Gershwin)

ここで、ステイシーが英語で話し始めます。
”イギリス人はいますか?”と聞くと、会場から拍手が。
アメリカ人は?フランス人は?ポルトガル人は?と続けるたびに、該当するお客さんが拍手。

フランスでは仏語で話すのに慣れてるからずっと仏語で話してるけど平気?

それが気になったんですね。2日目は言語の割合も変えたりしたのかな?

第1部ラストは、私も大好きなトム・ジョビンの名曲”Águas de Março”に、
皆さんご存じのジョルジュ・ムスタキが仏語訳をつけた曲です。

  • Les Eaux De Mars (Antonio Carlos Jobim / George Moustaki)

「3月の水」を聴いて冷たい水が飲みたくなったところで休憩時間です。

バーに降りていったら、飲み物を求める人で大混雑。あきらめました。
ひんやりした空気を吸うだけでも気持ちいいので、しばらく外で涼んで、第2部です。

  • Dreamer (Gene Lees / Antonio Carlos Jobim)
  • Mi Amor (Claire Denamur)
  • They Say It’s Wonderful

大好きな祖父とフランス語で話していた子供の頃のことから、他の外国語歴について話し、
大学の科目になかったから後になってから学んだというポルトガル語への愛着にふれた後、
ポルトガル語の曲、フランス語ボサノヴァにつないでいきます。
カエターノ・ヴェローゾの曲の歌詞を紹介したりもしていました。

  • O Comboio (Antonio Ladeira / Jim Tomlinson)
  • Coração Vagabundo (Caetano Veloso)
  • Samba Saravah (Pierre Barouh / Vinicius De Moraes – Baden Powell)

”来年またフランスでライヴしようかな”と言いながら終わりに近づいていきます。
アンコールの前には、観客が「”Jardin d’hiver”にして!フランスだから!」
などとリクエストする叫び声があちこちから上がって、おもしろかったです。

アンコールは観客みんなで歌えるこの曲にしたいと決めてたから…

ということで、結局Carole Kingの

  • You’ve Got A Friend

が始まりました。
英語圏ならYou just call out my name, and you know wherever I am…のあたりで合唱になるんでしょうが、パリ会場での歌声はまばら。
一応みんな拍に合わせて手をたたいてはいましたが… 仏語の曲の方が盛り上がったでしょうね。

このパリライヴを録音したアルバムに”Jardin d’hiver”が収録されているので、
翌日2日目のアンコールはこの曲だったのかも?
“Jardin d’hiver”は、Benjamin Biolay&Keren-ann Zeidel作で、フランスではHenri Salvadorのバージョンでよく知られている、いい曲です。ステイシーも過去のアルバムで歌っていますね。

今回のライブでは、演奏だけでなく、話と動き(ステイシーの可愛い踊りもたっぷり味わえて満足でした。
15曲くらい演奏されましたが、10月発売の輸入盤には13曲収録されています。

Recorded at La Cigale, Paris, France on May 30 & 31, 2011

・Stacey Kent (vocal, Guitar & whistling)
・Jim Tomlinson (Tenor saxophone, soprano saxophone & percussion)
・Graham Harvey (piano & Fender Rhodes)
・Jeremy Brown (double bass)
・Matt Skelton (drums & percussion)

  1. It Might As Well Be Spring
  2. Ces Petits Riens
  3. Postcard Lovers (Kazuo Ishiguro / Jim Tomlinson)
  4. If I Were A Bell
  5. Corcovado
  6. Waters Of March
  7. The Best Is Yet To Come
  8. O Comboio
  9. Dreamer
  10. Breakfast On The Morning Tram
  11. They Can’t Take That Away From Me
  12. Samba Saravah
  13. Jardin d’hiver

La Cigale 120 Boulevard de Rochechouart 75018 Paris FRANCE

08/07/2011

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