今年も秋(9月)に新年度・新学期がスタートしたフランス。
ある私立学校の中等部で、今年度から制服の着用が義務化され、ニュースになっています。
日本の中学校は制服が当たり前なくらいなので、「それがなんで話題になるの?」と思うかもしれませんが、フランスでは逆で、制服がある学校が少ないからです。
どんな学校?+ニュース動画
ニュースになっているのは、Sévigné de Compiègne という、保育所から高校まで一貫教育を行なっている、コンピエーニュにある私立学校。
校長によれば、学校とプライベートのけじめをつけ、余計なことに気を取られずすべきことに専念できる環境を作るのが、制服導入の目的だそうです。
下の動画は、France3のニュースです。
ニュースを見た時なんとなく違和感を感じたんですが、制服一式のリストを見て、理由が分かりました。
制服リストがトップスだらけな理由
制服の内容はこちら。
- ポロシャツ(水色)
- セーター(ネイビー)
- ブルゾン(ネイビー)
- スポーツ用のTシャツ(オレンジ)
- 化学の実験と美術の授業用の作業着(ペールブルーの白衣)
- ネクタイ(ブルーxブラック)
- スポーツバッグ
- スウェット
制服はトップスだけで、ボトムスは自前なんですね。
男女共に白シャツ+青ネクタイの制服は日本でもありますが、トップスだけの制服というのは、日本ならコンビニのバイトのイメージ。学校制服としては少数派ではないでしょうか。
しかも、シャツ&タイ着用は、セレモニーなどの特別な日限定で、普段はポロシャツでOKだそう。
Source: Le Parisien
ボトムスは「色がマリンブルー(学校のカラー)」というのがルールで、スカートを履く場合は、靴下もブルーと決められています。
個人の好みで用意するわけですが、スキニーなジーンズ・パンツ率がやけに高いので、自由な割に案外ばらつきが少ないようです。
制服一式の購入は各自で行い、100ユーロ(約14,000円)以上。
スウェットが18ユーロ、ポロシャツが12ユーロ、セーターが20ユーロ。ユニクロ並みの価格ですね。
全て、これでもかというくらい校章入りです。制服導入は、ブランド価値が高い名門校なんですよという宣伝にもなっている気がします。
そういえば、オックスフォードかどこかの名門大学のスウェットを、そこの学生じゃないのに着ているというエピソードが出てくる映画があったような… なんだっけ。
じわじわ導入した経緯
次のような段階を踏み、導入に至ったそうです。
- 2014年、同グループの保育園、幼稚園、小学校で、青いシャツの着用を義務化
- 2016年、中等部・高等部の生徒に、校章入りポロシャツを配布し、学園祭などの特別な日だけ着用を義務化
- 2017年、金曜日だけ、校章入りのセーター、体操着(上)、スポーツバッグの着用を義務化
- 2018年8月29日から、制服着用を義務化。
抵抗が起きないように、じわじわ慎重に進めたんですね。
この学校は、2003年から、学校でガムを噛むことや、携帯電話の持ち込みを禁止したりもしています。
フランスの学校では、授業中お腹が空いたら、持参したお菓子などを食べるのが当たり前なので、ガムを禁止するというのは、かなり厳しい印象を受けます。
スマホは、今年度(2018年)から、フランスの中学校で禁止になりました。例外を認めている学校もあり、さほど徹底されていないのが現状です。
生徒と保護者の反応
制服導入のせいで学校をやめたのは、2家庭だけだったそうです。ニュースをいくつも見ましたが、大部分は肯定的な意見でした。
子供の意見
- 気に入った、誇りに思う
- みんな同じなのはちょっと違和感がある
- 服のことでバカにする人がいなくなっていい
- 結束力、帰属意識が強まりそう
- 見た目がみんな同じだと、行動や結果だけで人を評価できるようになるからいい
親の意見
- 私服を買うより安く、洗濯が楽で、朝服を選ばずに済んで助かる
- みんなで一つの目標に向かって前進する、サッカーチームみたいでいい
- 家庭の貧富の差を埋められて、平等になるからいい
- 自分も仕事で制服着ているから、違和感がない
インタビューを見ると、親も子供も揃って「制服を着るとみんな同じになる」と認識しているのが分かります。見た目が同じでもちゃんと見分けられますよ、と校長先生が冗談めかして言ったりもしています。
日本には、靴下や前髪や爪まで校則でガチガチに定めている学校があると聞きます。それと比べものにならないくらい自由度が高いと思いますが、強制や均一化に免疫がないフランスでは、これでもギリギリの限界なのかもしれませんね。まぁ、これまでも慎重に進めてきた学校なので、まだこれから変わっていく可能性もありますが
落ち着いたきれいな町、Compiègne コンピエーニュ
Oise オワーズ県 Compiègne コンピエーニュは、パリの北方にあります。5月1日には、la Fête du Muguet(すずらん祭り)が行われ、盛大にパレードが行われます。
友人が住んでいたので遊びに行ったことがありますが、電車で1時間半以内でした。車でもそのくらいで行けます。
お城(Château de Compiègne コンピエーニュ城)や森(Forêt de Compiègne)や美術館などがある、落ち着いた感じの気持ちいい町でした。
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