パリ生活に欠かせない「区」について、基本的なことをあらためてまとめました。
Sommaire
区の名前・発音、略、配置
パリは、数が並んだエスカルゴ
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パリは、1区から20区まで中心からぐるっと時計回りに螺旋状に番号が振られています。
その番号(序数 1er, 2e, 3e, 4e … 20e)がそのまま区の名前となっているので、分かりやすいです。
フランス語で「区」はArrondissement(アロンディスマン)で、たとえば4区は、le quatrième arrondissementです。
le 4e arr. や、arrondissementなしで le 4eと略すことができます。住所プレートには、4e Arr_tと書かれていたりします。
16区のRue du Capitaine Olchanskiのモザイク風?のきれいな住所表示板。よく見るタイプと違い、”16ME AT”と略されています。
数ではない区の名前も一応ありますが(↓)マイナーで、日常ではほとんど使われません。
1er : Louvre, 2e : Bourse, 3e : Temple, 4e : Hôtel-de-Ville, 5e : Panthéon, 6e : Luxembourg, 7e : Palais-Bourbon, 8e : Élysée, 9e : Opéra, 10e : Entrepôt, 11e : Popincourt, 12e : Reuilly (hors bois de Vincennes), 13e : Gobelins, 14e : Observatoire, 15e : Vaugirard, 16e : Passy (hors bois de Boulogne), 17e : Batignolles-Monceau, 18e : Buttes-Montmartre, 19e : Buttes-Chaumont, 20e : Ménilmontant
左岸と右岸
セーヌ川より北側のことを右岸Rive droite リーヴドロワット、南側をRive gauche リーヴゴーシュと呼びます。
左岸派?右岸派?と聞く人もいますが、 先ほどのマップを見ていただくと分かるように、左岸は5区、6区、7区、13区、14区、15区の6つだけで、残りの14区は全部右岸です。
住むと頭の中でパリが区に分かれる
東京の場合、「○○周辺エリア」や、駅名やスポット名を聞くと分かりやすいのに、区名だとあまりイメージがわかないのは、私だけでしょうか。
原宿・渋谷エリアっぽいから渋谷区かと思っていた表参道駅が、港区だと知った時など、ちょっと驚きました。
パリは、それぞれのArrondissement(区)ごとのイメージがハッキリしています。
歴史や、区ごとに異なる行政方針が、各区の雰囲気に反映されているのもあるし、東京よりコンパクトなせいもありますが、郵便番号にとどまらず、何かというと区で分けられることが多いので、習慣的に区分けが染みつくのだと思います。
スマートフォン普及以前、パリ市民はパリ地図を使っていました(一家に一冊あると思います)。ページが区ごとに分けられている冊子タイプのマップが一般的です。
映画館情報・イベント情報やショップリストなども、区ごとに分けて並んでいることがとても多いですし、
市内の統計データも区ごとになっていて「何区はどういう感じ」という話をしょっちゅう耳にします。
そうしてパリで生活する人の頭には、区が叩き込まれていきます。
パリ&郊外の平均所得と街の雰囲気
Source : Magicboost GFDL, Wikimedia Commons
上の画像は、パリとその近郊の年間平均所得マップです。赤に近い地域は高所得で、淡い色の地域は低所得です。
ちょっと恐ろしくなるほど、このグラデーションと、散歩した時に感じる雰囲気に相関関係があります。
パリは3つの県に囲まれていますが、郊外といっても、西半分に隣接するHauts-de-Seine(92)にはリッチな住宅街が多く、公営団地が多いSeine-Saint-Denis (93)などには、犯罪率・失業率の高さで問題になっている地域もあります。
南東のVal de Marne(94)は、街によって差があるものの、普通の住宅街が多い印象でしたが、このマップでも中間色が多めです。
その雰囲気はパリまで続いていて、まるで縮小版のよう。
北東部には日が落ちたらあまり歩きたくない落書きだらけの道があったり、西側の16区などは美しい建物や高級車でいっぱいの高級住宅街が多かったりします。
一目見て何区か分かるパリの郵便番号
別ページ↓に詳しく書きましたが、パリの郵便番号(code postal)は、区ごとに分けられています。
パリ(=県でもある)の県番号は75です。郵便番号は750xxの形になります。
たとえば75001は1区、75016は16区です。
xxの部分には、区の番号(2桁)が入るので、パッと見ただけで区が分かります。
住人が多い/少ない区は?
19世紀と最近の住民数の変化
パリの人口をグラフにしました。
1999年と2015年は大差ありませんが、家賃が高騰しきっている中心部の人口がわずかに減り、外側の人口がやや増えています。
19世紀(1872年)と比較すると、昔はパリの真ん中(特に2、3、4区)の人口が過密気味で、外側はガラ空きだったのが、時代とともに外側にも人が流れていったことが分かります。
パリ各区人口密度ランキング
パリの区別の人口密度(住民数/Km2)をグラフにしました。
Place de la Bastille バスティーユ広場などのある11区は、19世紀から今まで常に人口が多い区です。
1区(Musée du Louvre ルーブル美術館、
Musée de l’Orangerie オランジュリー美術館、Palais Royal パレロワイヤルなど)や、
8区(Arc de Triomphe 凱旋門、Av. des Champs-Élysées シャンゼリゼ、Place de la Concorde コンコルド広場など)や、
7区(Invalides アンヴァリッド、Tour Eiffel エッフェル塔のあたり)は、
広々していて気持ちいいと思う大きな公園、美術館、広場などが多い分、居住用の土地が少なく、比較的ゆったりした住居が多いイメージがあります。
2015年の人口密度が高い順に並べると、下表のようになります。
- 11e: 40,827
- 18e: 32,875
- 20e: 32,702
- 10e: 31,754
- 3e: 29,956
- 17e: 29,724
- 15e: 27,712
- 19e: 27,342
- 9e: 27,251
- 13e: 25,625
- 14e: 24,821
- 5e: 23,359
- 12e: 22,345
- 2e: 21,006
- 16e: 20,921
- 6e: 19,734
- 4e: 16,966
- 7e: 13,235
- 8e: 9,457
- 1er: 9,041
Wikipédiaのパリの項目を見ると、1960年代までは、4、5、6区の人口が多かったことが分かります。小説などに出てくる、学生や文学者や哲学者などが議論を交わしているパリ左岸が思い浮かびます。
最近読んだ中では、Patrick Modiano パトリック・モディアノの小説«Dans le café de la jeunesse perdue»(『失われた時のカフェで』)の舞台が、1960年代のパリでした。
登場人物はどことなくメランコリックで、活気あるパリの街にいるのに、薄い膜で隔てられた世界にいるような感じが印象的でした。
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[…] 引用元:framile […]