以前ブルーノートでRICHARD GALLIANOさんのライヴを見て気に入り、過去のCDを数枚買ったんですが、「あれっ?なんだか控えめ?」と思いました。
生演奏の方がいいと思うことはしょっちゅうありますが、それにしてもだいぶ違う気がして。
過去のアルバムの頃とだいぶ変わったのか、アコーディオンの音がCDにはおさまりきらないのか?
スタジオでは会場ほどの高揚感が出ないのか、弾いてる姿を見ないと伝わらない何かがあるのか?
それとも記憶の中でライヴを美化しすぎたのか…?
確かめたい気持ちもちょっとあり、また見に行きました。
そして結局、やっぱりライブがいいなぁとあらためて思いました。
機敏な指や、全身での表現を見ているせいもあるかもしれませんが、即興演奏も、思い切り走るような感じで、高揚感があってカッコいい。
フランス人なら誰でも口ずさめるほどの有名曲”Que reste-t-il de nos amours?”や
“Les feuilles mortes”(枯葉)をメドレーにしたアンコールの演奏も、
波を模した音や、キーをカタカタたたく音など、遊び心があって、印象的でした。
彼の音楽を好きで、反応が(今まで見たブルーノートのライブの中でも一番といえるほど)いいステキなお客さんたちのおかげで、よりいっそう楽しめました。
アコーディオンが、こんなに表情豊かで可能性を秘めた楽器だとは…
小学校の音楽の授業でふぬけた音しか出せなかったあれと同じ種類の楽器というのが信じられません。
リシャール・ガリアーノさんは、南仏のカンヌ生まれで、ニースの音楽学校に行っていたと何かで読みました。
ニースとアンティーブの夏のジャズフェスティヴァルを連日ハシゴするため南仏に行き、その二つの街に行ったことがあります。
暖かく、ヴァカンスのイメージが強い地域です。
日焼けしたヴァカンス客がゆっくり過ごすニースのビーチ、
映画祭が数ヶ月前に終わり、静かで落ち着いたカンヌの砂浜と、
「みんなヴァカンスのためだけに働いてるんだよ」と陽気な方言で語る、地元の人々の底抜けな明るさが印象的でした。
そんな南仏出身のガリアーノさんと、ライブの後にお話することができました。
「あなたのライヴをここで見るのは2度目です」
「今週?」
「いえ、以前にもいらしてましたよね」
「あ、なるほど! うん、来たよ」
カンヌやニースの話もしたりしつつ…
「演奏、すばらしかったです。アンコールのメドレーも最高で、Fuuu~という波のような音も新鮮でした。
Et la mer efface sur le sable, les pas des amants désunis(別れた恋人たちの足跡を潮が消す)っていう”枯葉”の歌詞ともピッタリで」と言うと、
あれは評判が良くてみんなに録音をすすめられてるけど、まだしてないんだとおっしゃっていました。
「次の来日のご予定は?」
「来年だよ。クラッシックのホールでやる予定なんだ」
「チェックしないと。ワインと食事がないというのは残念ですが」
「どこに住んでるの?」と聞かれ、「横浜です。今フランス月間なんですよ」と言うと、
「そういうイベントがあるんだね、知らなかったな」とおっしゃるので
「東京から数十分の港のある街ですから、いつかぜひいらしてください」ととっさに横浜をアピール。
サインをいただいたCDは、LIVE盤の中から選んで買った”The Wynton Marsalis Quintet & Richard Galliano : From Billie Holiday To Edith Piaf [Live in Marciac]”。
「これはいいよ、あなたも気に入ると思うよ」というGallianoさんの予言通り、お気に入りの一枚になりました。
トランペット奏者のウィントン・マルサリスと共演したライブの録音で、
タイトルにあるように、エディット・ピアフの代表曲La vie en rose(バラ色の人生)や、
ビリー・ホリデーの代表曲Strange Fruit(奇妙な果実)などが収録されています。
ジャケットにも、演奏にも、ジャズフェスが行われた南フランスの町マルシアックを思わせる開放的な明るさが漂っています。
写真を撮った後、画面を見て、「おっ、なんかレンブラントの絵みたいだね!」と、Gallianoさん。光と影の具合が、言い得て妙!
演奏だけじゃなく、とてもステキな方でした。
RICHARD GALLIANO FRENCH TOUCH TRIO リシャール・ガリアーノ・フレンチ・タッチ・トリオ
1.TANGO POUR CLAUDE 2.FOU RIRE 3.LAURITA 4.CHAT PITRE 5.MENUEI 6.BADINERIE 7.ARIA 8.LIBERTANGO 9.LILI 10.LA VALSE A MARGAUX 11.SPLEEN 12.WALTZ FOR NICKY 13.NEW YORK TANGO 14.AUTUMN LEAVES 15.BEBE
Richard Galliano(accordion, accordina) リシャール・ガリアーノ(アコーディオン、アコーディナ)
Jean-Marie Ecay(g) ジャン-マリー・エカイ(ギター)
Jean Philippe Viret(b) ジャン・フィリップ・ヴィレ(ベース)
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