パリ市民の生活に欠かせなくなっているレンタサイクル、VELIB’(ヴェリブ)が、より多くの住民・旅行者にもっと便利に利用してもらおうと、2018年に大幅リニューアル。自転車本体も料金体系も新しくなりました。
自転車の納品台数が足りない・マシーンや充電システムや駐輪場が機能しないなど、リニューアル後は払い戻しが必要なほどトラブル続出で混乱し、
機能回復するまでしばらく時間がかかりそうなのが残念ですが、そのうち落ち着いたら、以前より便利になるはず!
またそのうち変更されるかもしれませんが、リニューアルで変更された点、新料金体系、新VELIB’の使い方、必須アプリについてまとめました。
最新情報はVélib’ 公式サイトでご確認ください。
世界には公共交通機関や車なしで観光しにくい都市もありますが、 別記事↑で書いたように、パリはコンパクトな上、いろいろなものが中心部にぎゅっと詰まっているので、電車で点移動するよりも、徒歩や自転車でじっくり楽しむのに向いています。
新Vélib’は、電動自転車が加わって2種類に
過去記事レンタサイクルVélib’の使い方,料金,アプリに書いた通り、以前はグレーの重い人力ママチャリ(22.25kg)だけでしたが、
リニューアルにより、(アシストなしギア付)自転車と、電動アシスト自転車♡の2種類から選べるようになりました!
今のところ、(電動アシストなしの)自転車はグリーンで、全体の7割。
電動アシスト自転車はブルーで、全体の3割なんだそうです。
緑の人力Vélib’は、従来のグレーより2kg軽量化されたとはいえ、20kg。日本の一般的なシティサイクルより重いくらいですから、ミニベロやクロスバイクに慣れている人は、相当重いと感じると思います。
ギアは上り坂では焼け石に水なので、グレーの旧VELIB’できつい坂を上れるのは猛者だけでしたが、青VELIB’なら頑張れば普通の人でもモンマルトルの丘などに行けるかもしれませんね。
新Vélib’の使い方
直感的に分かると思いますが、現在まだ公式のチュートリアル(PDF)と動画がフランス語版だけのようなので、一応ざっくりメモしておきます。
パスを購入し、自転車を借りる
購入・契約は、サイトやパス販売所で
・1日/1週間パスの購入や年間契約は、公式サイトでやっておくと確実ですが、決済機能つきの機械(Borne)でもできます。
サイトで買った場合、コードはメールで送られてきて、アカウント情報でも見られます。Borneの場合、8桁コードがプリントされた紙が出ます。
今のところ、パス購入可能なBorneが置いてある駐輪場は限られています(↓次項目参照)。
残数が一目で分かるVELIB’公式マップ
上画像は、とある土曜日の青い電動自転車の残数マップ。案の定、電動は取り合い状態です。
公式サイトと、公式アプリ(iPhone・Android)で見られるVelib’公式マップは、地図上にリアルタイムで貸し出し可能台数や返却可能台数が表示され、どこに行けばいいか一目で分かります。日本版(Docomo)のバイクシェアも見習ってほしいくらい、見やすいです。
マップ上部にある「緑自転車」「青自転車」「P(Place disponible」ボタンをタップすると、表示を切り替えられます。
- Vélib’ mécanique disponible 緑:(非電動)自転車の貸出可能台数
- Vélib’ électrique disponible 青:電動アシスト自転車の貸出可能台数
- Place(s) disponible(s) 紫:空いているラック数(普通に返却可能な台数)
- Station favorite:お気に入り登録済駐輪場
- Incident station:トラブルあり
- Station en travaux:工事中
青いユーロのアイコン(Pass 1 & 7 jours : achat possible en station (CB))がついている駐輪場では、1日・7日パスが購入できます。
アイコンの意味は、左から
V-boxで操作して、自転車レンタル開始
旧ヴェリブは、駐輪場のBornette(自転車をはめるホルダー)についた機械を操作していましたが、
新ヴェリブでは、自転車の左右ハンドルの真ん中についている機械V-Box(これ↓)で操作するようになりました。
V-Boxには、レンタル情報管理だけでなく、距離や時間などの走行情報の記録機能も備わっていて、返却時に簡単なレジュメが表示されます。スマートフォンからBluetooth経由でV-Boxに接続して情報を確認することもできます。
レンタル方法は、V-Boxの右の方にあるボタンを押して起動し、
・チャージ済のカード(NavigoまたはVélib’ Métropole)がある場合は、タッチする。
・カードなしで 1日/1週間パスを使う場合は、8桁のアクセスコードと、4桁の暗証番号を入力する。
そうすると画面に”Go”アイコンが出て、利用開始となります。
・VELIBの新しいパスを購入し、Navigo/Vélib’カードでサクッと借りられるようにするには、初回のみ、カードに購入情報を紐付ける作業が必要です。
手順:使いたい自転車のV-Boxのボタンを押す → カードをかざす → 8桁と4桁のコードを入力 → 再度カードをかざす
これを済ませれば、いちいちコードを入力することなく、カードをピッとスキャンするだけでよくなります。
電車を使わない人はVélib’専用カードでもいいですが、Navigoにチャージすれば、電車・バス・自転車定期を1枚にまとめられるのでとても便利です。
途中で寄り道する時は、隠れた盗難防止ワイヤーを出す
新Velib’のハンドルには、盗難防止のワイヤーが隠れています。
↑こちらは、VELIB’公式の動画。
女性が自転車を止めてパン屋さんに寄って、半分むき出しのバゲットをそのまま自転車のカゴにポンと投げ込むという、いかにもフランスらしい場面も見られます
②左ハンドルのボタンを押し、右ハンドルから出てきた盗難防止ワイヤーを柱などにくくりつけ、③ワイヤー先端を前輪上の穴にはめます。
後は、おなじみV-Boxのボタンを押し、”Pause”画像が出てからカード(Vélib’かNavigo)をかざす(カードなし利用ならコードを入力する)だけ。するとワイヤーが固定され、ハンドルを動かすとロック中アイコンが画面に出ます。
利用再開は、&カード(かコード入力)で。
自転車の返却方法、満車時の対応
空いているBornette(画像①。ラック スロット ホルダー… 日本語名は何でしょう)にガチャンとはめ込むだけで、V-Boxに”STOP”アイコンが出て返却完了。
外れた鍵のアイコンが出たら、きちんとはまっていないということなので要確認です。
旧VELIB’は、空きBornetteがないと返却できませんでしたが、 新しいVELIB’は、年間契約のV-PLUSかV-MAXなら、満車状態でも、PARK+ というシステムで返却できるようになりました。
ただしデイリー/ウイークリーパスでは、PARK+での返却はできません(PARK+で駐輪された自転車の貸し出しはできます)。
空きがない場合は、旧VELIB’と同じく、近隣の空いてる駐輪場にしぶしぶ返しに行きます。その際、borneで手続しておくと、移動のための延長時間をもらえるので、時間オーバーを避けられます。
画像は、PARK+の説明。Bornetteに停車された2台の自転車の間に、前後反対向きで駐輪し、左ハンドル先のボタンを押して右ハンドル先から出てきたケーブルを、サドルの下に通し、その先端を前輪上の穴に突っ込み、、数字の2、を押し、ワイヤーが固定されて”STOP”アイコンが出れば返却完了です。
新プラン・料金
V-Plus以外の全てのパス・プランで、電動アシスト付のブルー自転車は、非電動のグリーン自転車の料金よりも、30分につき1ユーロ高くなるしくみです。
1日/7日パスと、追加料金ゼロになる使い方
現在、パスはデイリーとウィークリーの2種類。違いは、有効期間と基本料金だけです。
・V-DÉCOUVERTE – 24時間パス(基本料金:5 €)
・V-SÉJOUR – 7日パス(基本料金:15 €)
追加利用料金
30分まで: 非電動 無料 | 電動 1 €
30-60分: 非電動 1 € | 電動 2 €
60分以上: 30分ごとに 非電動1 €| 電動 2 €
非電動の緑自転車は、貸し出し手続きをしてから30分以内に返却すれば、追加料金ゼロ。
表のとおり、長時間借りっぱなしにすると追加料金が発生します。
つまり、長距離移動する場合でも、無料時間(30分)が終わる前に、いったん駐輪場に寄って返却手続をして、またすぐ借り直せば、パス購入料金だけで乗り放題できるわけです。パリ市内はステーションが多いので、寄るのは簡単です。
何かしらエラーが起きた時のために、貸し出し可能台数が多いところに寄っておくと無難ですね。
返却が済んでから貸出可能になるまで数分待たされることはたまにありますが、30分あればかなりの距離を走れます。
パスの購入時に台数を指定することができ、一つのパスで5台まで貸し出しが可能です。家族全員の分をまとめて買う場合や、恋人や友達の分を借りてあげる場合に便利です。
料金は台数分かかるので安くなるわけではありませんが、全員分の手続きをわざわざしなくていいという点がメリットです。
パスは、最初に使い始めた時から有効期限のカウントが始まります。
購入してから15日以内に使用を開始しないと無効になりますので、ご注意を。
年間契約
1年契約のプランは、大きく分けて3つ。以下は一般料金ですが、27歳以下の学生や、奨学生などに向けた割引もあります。
V-Libre(月額基本料金:無料)
基本料金は無料だけど、必ず利用料金が発生するプラン。
借りた直後にブレーキなどの調子が悪いと気づいても、無料チェンジができません。
月3回までしか使わないライトユーザー向けです。
利用料金
30分まで: 非電動 1 € | 電動 2 €
30-60分: 非電動 1 € | 電動 2 €
60分以上: 30分ごとに 非電動 1 € | 電動 2 €
V-Plus(月額基本料金:3,10 €)
月4回以上使うなら、V-Libreよりベター。利用料金は、上述の短期パスと同じ。
このV-Plusと、上位のV-MAXプランでは、
- 満車ポートにねじ込み駐輪できる PARK+システムが使えます。
- 満車の駐輪場で自転車を借りた時は3分、残数0台の空っぽ駐輪場に自転車を戻した時も3分、両方できたら10分の Bonus temps(ボーナスタイム)がもらえます。
ボーナスタイムが30分以上貯まっていれば、無料範囲を超えて乗り続けた場合に(V-PlusとV-Max電動は30分以上、V-Max非電動は1時間以上)、自動的にボーナスタイムで支払われるので、利用料金の節約になるというしくみです。駐輪場の自転車残数を調節することを目指したポイント制度ですね。
V-MAX(月額基本料金:8,30 €)
電動自転車も、30分まで無料。人力自転車なら1時間無料。無料時間内にいったん返却してまた借りれば、月たった1000円程度で乗り放題ですから、よく使う人や、電動自転車狙いの人にはベストなプランです。駐輪場に電動自転車が残っていてくれればいうことなしですね。
利用料金
30分まで: どちらも 無料
30-60分: 非電動 無料 | 電動 1 €
60分以上: どちらも 30分ごとに 1 €
Vélib’を使う時便利なアプリ
ヴェリブ公式アプリ(iOS)。stationごとの利用可能台数と駐輪可能台数がリアルタイムで表示されて便利です。重要な情報が見やすいデザイン。乗る前にインストールしておくのがおすすめです。
今のところガラケー的デザインでとても使いにくい東京都の自転車シェアリングアプリ&サイトも、こういうレベルになって欲しいものです。
ただ、実際にちゃんと動く自転車の台数がアプリ・サイト通りでなかったり、リニューアル後は不安定なのが難点です。
便利な乗り換え案内アプリ(iOS)。ヴェリブのstation情報も入っています。
さいごに
リニューアルでの値上がりを嘆く声もありますが、今のところ(2019年)、最上位プランでも月1,000円程度と格安です。
駐輪場もかなり増え、パリ市内だけでなく周辺にまで広がっています。
電動アシストは段違いに楽ですから、行ける範囲も広がって楽しいですね♪
本当に残念なのは、リニューアル後に納車台数が足りないなどの信じられないようなトラブルが色々あり、うまく機能するようになるまでしばらくかかりそうなこと。落ち着くのを待つしかありません。
そうそう、以前よりパリの雰囲気はかなりよくなりましたが、日本ほど安全とはいえないので、自転車の前かごの荷物の盗難対策はお忘れなく
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