フランス語を勉強すると言っても、目的は人それぞれ。
このページでは、しっかり身につけたい人のために、効率のいい方法や教材を紹介します。
「旅行でフランス語をちょっと話す/英語やスペイン語などでフランス語を学ぶ/ちょっとフランス語混じりで話す」などについては、別ページにまとめました。
最終的には全て必要だけど、先にやると得なものは
本や記事が読めて、言いたいことが言えて、映画が字幕なしでもほぼ分かる上級レベルを目指す場合、結局、最終的には、文法・(スラングも含む)語彙・発音など、全てが必要になります。
楽しいと思えるものから始めれば、挫折せず長続きしやすいですが、とにかく聞き取り・発音だけは、真っ先に始めるのが得策です。
まず音声を使った勉強から始めて、楽しくなって軌道に乗ったら、文字も使って地道に知識を増やす、という順番がいいのではと思います。
最初は現地生活風に、推理を楽しんでみる
言葉が通じない国では、翻訳アプリを使えば意思疎通できます。未来になれば、さっと空中に字幕が出せる未来型の同時通訳マシーンが開発されるかもしれません。が現状、空中に字幕は出せません。海外の日常生活で翻訳アプリに頼っていたら、会話が途切れ、倍の時間がかかり、面倒で不自然です。
自然に会話しようと思ったらやはり、状況・文脈・音声・表情・ボディランゲージから意味を推測し、気になったことは後で確認して覚えるという、昔ながらの正攻法でやるのが近道です(いちいち分からない単語をネットやアプリで調べていたら会話にならないので)。サバイバルに必要だと実感したことは人間よく覚えるもので、脳はよくできてると感心します。
なので、それに近い方法に慣れておくと、実際に海外で暮らす時に楽だと思います。
留学などでフランス語圏の人との会話ができる環境なら、自然とそうなりますが、無理なら、疑似体験できる教材を使うのがいいかもしれません。
ロゼッタストーンなど、現地生活の学び方と似たもので学んでみる
iPhoneの会話学習アプリをいくつか試してみて、入門によさそうなものもありましたが、毎月課金が必要なものや、物足りないものも結構ありました。母国語を使わず学ぶ教材の元祖のような老舗ソフト「ロゼッタストーン」は、歴史が長いだけあって、内容量が多く、よくできていると感じます。
日本語も解説もなく、音声・画像・状況から推測し、分からないことは自分で勝手に調べるというしくみは、現地生活と似ています。発音矯正機能がある語学教材を作っていたAuralogという会社を買収(か何か)したせいか、発音判定機能もついています。
いつからかソースネクストから発売されるようになったようで、セールで3000円以下と、かなり安くなっています。
受け身的に意味を教わって暗記するより、自分で推測した方が印象に残るので、吸収しやすいのではないかと思います。IKEAの文字なしの組み立て説明書が好きな人とは、特に相性がよさそうな気がします。
答えをテキスト入力することも可能ですが、音声入力すると、会話している感覚に近くなります。選択肢や発音を間違うとやり直しになるシステムですが、身に付いていれば、サクサク進めて気持ちよく、達成感も味わえます。
発音ウィンドウを開くと、個別に発音が練習できます。上段にお手本、下段に自分が発音した音声の波形と、音声認識されたテキストが表示されます。言った通りにテキストが表示されればOKですが、気が済むまで何度でも、波形を見て調整することもできます。忍耐強さは生身の先生より上ですから、遠慮はいりません
ヘッドセットなどを使うと、より正確になるかもしれません。
こういう方法でとりあえず慣れて、楽しんで、もっと使いたくなったところで単語や文法を知ると、便利さが痛感でき、モチベーションが低い状態での丸暗記より何倍も吸収しやすくなると思います。
中級以上用のフランス語参考書は、日本ではあまり多くありません。語学学校に留学した場合、フランスの出版社から出ている教材や、先生が用意したフランス語資料などを使います。あえて日本語で学ぶ必要はありません。
中身がフランス語だけというと、日本製の参考書と比べてハードルが高そうに感じる人もいるかもしれません。確かに、日本製参考書は丁寧な訳と説明が必ず添えてあり、楽です。が、実際フランス語だけの参考書を使ってみると、案外問題ないと感じると思います。
分からないことは推理し、調べる必要がありますが、それは現地生活中も同じです。面倒に感じるかもしれませんが、慣れるには好都合かもしれません。他にも、
・カタカナ発音を見ずに済む
・意味を推理するクイズ的な楽しさが味わえる
・日本語を介さず、直接フランス語で考える癖がつきやすい
・情報量が多く、がっつり網羅できる
などのメリットがあります。
Clé International社の「Progressive」シリーズ
Clé International社の「Progressive」シリーズは膨大で、会話・文法・語彙・文化学習・つづりなど、フランス語学習の各分野を網羅しています。
どの分野も、レベルが細かく分かれており、どれも情報量が多く、おすすめです。このシリーズがあれば他はいらない(というか、やる時間がない)くらいです。マスターするつもりなら、最初からこのシリーズを進めていくのが効率的だと思います。
これの唯一の欠点は、シリーズが多く、教科書と解答集が別売りで、数年おきに新版が出るため、全部合わせると膨大な数になるのに、表紙が似通っていて、探しにくいという点だけです。
実店舗には紙の本の最新版だけ揃えてあることが多いので、分かりやすいですが… 日本では、紀伊国屋オンラインストアやBooks Kinokuniya Tokyo、欧明社などに置いてあり、たまにAmazonで買える時もある、という感じです。フランスではメジャーなので、街中の本屋さん(FNACなど)で普通に売っています。
レベル別に継続できる、内容が濃い会話学習本
「Communication progressive du français」は、そのシリーズの、会話学習用です。フランス旅行・生活にすぐに役立つ会話例文がびっしり詰まっています。表紙は若干ストイックな雰囲気ですが、中身はカラフルで情報量が多く、おすすめです。
全部フランス語ですが、日常的な会話と例文だけで、説明は多くありません。左ページの会話を聞いて、右ページの練習問題で理解度を確かめたり、関連情報を補足したりするしくみです。最初のうちは絵も多いので、推測したり、適宜調べたりするだけで、さほど苦労せず使えると思います。
さきほどの「↑ コンヴェルサスィオン―中級フランス語会話へのステップ」とは違い、こちらの会話例は、ごく普通の実用的な日常会話です。
例文と練習問題がたっぷり入った参考書本体と、解答集(Corrigés)が別売りです。紙の本の場合、自分で答え合わせするなら、解答集も必要です。
練習問題を除くレッスン部分だけでも、かなりの量です。
イエローの表紙のNiveau débutant(A1 初級レベル)から、ダークグリーンのNiveau perfectionnement(C1/C2 上級レベル)まで数種類あり、レベルが上がるほど、画像が減ってテキストが多くなります。
Niveau débutant(A1)
水色表紙のNiveau débutant(A1)入門レベルは、絵が多めで、とっつきやすい雰囲気です。買い物する、予約する、挨拶する、謝る、好みについて話す、など、旅行や日常生活に役立つ内容です。
Niveau débutant complet (A1.1 初級)
黄色表紙の「Niveau débutant complet (A1.1) – Livre + CD + Livre-web」は、入門の後の初級レベルです。 こちらは、挨拶/自己紹介/住所、電話番号や職業の言い方/道の聞き方/地域、アパート、レジャー、外出などについての話の仕方を、豊富な画像付きで学べます。CDとオンラインブックがついているそうです。
水色の入門レベルでは、「買い物」に1章丸々さかれていますが、黄色初級続編では「お出かけ」の中の一部だけとなっています。
入門レベルで、旅行や生活に必要不可欠なことを学び、黄色表紙では一歩進んで、人との交流に重点を置いているような感じがします。
2017年版と2019年版があるようですが、表紙は同じに見えます。
Niveau intermédiaire(A2/B1)
すでに基礎知識がある人は、中上級用の緑表紙 « Niveau intermédiaire(A2/B1)» から始めてもいいかもしれません。旅行、赴任、留学にすぐ役立つ内容です。
緑表紙のNiveau intermédiaire(A2/B1 中級)の舞台は、お店、レストラン、銀行、駅etc.。
・買い物、オーダー、返品交換する
・道や情報を聞く
・電話回線の契約・解約をする
・警察で盗難について説明する
・事故後に保険会社と話す
・電話する
・文句やお世辞を言う
といった、現地生活で即使えるフレーズやボキャブラリーが満載で、これ一冊でも、言えることが大幅に増えるはずです。
CD付きの文法テキスト&問題集 Grammaire progressive du Français
同じく「Progressive」シリーズの、文法バージョンです。
会話バージョンと同じく、中身は全部フランス語、テキストと問題の解答集(Corrigés)が別売りで、レベル(niveau)が何種類もあります。
上の画像は、初級編の抜粋で、文法書にしては画像が多めです。初級は親しみやすい雰囲気重視で、中級・上級は情報量を重視しているあたりも工夫されています。
かつてフランス語授業の定番といえば、パリのソルボンヌ大学の語学授業で使われていた、HACHETTEの「Les 350 Exercices(amazon.fr)」でした。説明が一切ない問題集なので、別途参考書か先生が必要で、白黒で文字だらけ…というストイックなもので、「特訓」感が強すぎて嫌だという人もいましたが、効果は大きく、上から2つ目のレベル「Niveau avancé」を終えただけで、仏検1級の文法問題が簡単に感じるレベルになります。
その点、こちらの「Grammaire progressive du français」は、イラスト入りの見やすい教科書部分と問題集が半々で、音源まであるのでとっつきやすく、自習にもぴったりです。
「Niveau avancé」上級や、「Niveau perfectionnement」最上級は、「Les 350 Exercices」と同じく、仏検1級〜レベルの勉強にもなると思います。
カジュアル・フォーマルな言い方の使い分けを学べる、CD付き会話学習本
フランスのDidier社が出版した「Conversations pratiques de l’oral」に、スキット部分の日本語訳を第三書房が別冊で付け加えた、フランス語会話学習本。別冊以外は、全てフランス語です。
日本の本屋さんで普通に買える、数少ない中級以上用参考書のうちの一つでしたが、販売終了状態になっているようなので、折りたたんでおきます。
「Communication progressive du français」シリーズがあれば十分(というかシリーズが膨大で時間が足りないくらい)ですが、この参考書は、目を通す価値があると思います。
ポイントは、会話でも例文でも、フォーマルな場面、くだけた場面、その両方を、明確に分類してまとめてあり、カジュアルな言い方と、フォーマルな言い方の使い分けが分かるという点です。
予想通りなものもありますが、何となく使っていた言い方について、なるほどと思う時もあり、普段なにげなく使っているフランス語の知識を確認・補強する役に立つと思います。
会話例文が独特なのも、この本の特徴です。登場人物が不機嫌だったり喧嘩していたりする妙にリアルな会話もあれば、オチがついた小話みたいなスキットもあり、語学本らしくなく、個性的です。
CDには、ピックアップされた会話や例文が収録されています。
フランス語の紙の本を買う
まとめ買いする時は、フランスから直輸入が楽
DVDを買う機会は減り、技術書などは電子書籍を買うことが多いですが、小説などは紙の本が好きです。iPadより軽くて、目も疲れにくいという実用面もありますが、新しい本の香りや、質感など、物としての魅力があり、「余暇の楽しみ」感がより味わえる気がします。紙の香りでワクワクするとは、パブロフの犬… 経験によるものかもしれません。
フランス語書籍をまとめ買いする時は、Amazon.fr(アマゾンフランス)をよく使います。
フランスの本屋さんで買いだめしてしまい、まとめて日本に送ったことがありますが、梱包して、郵便局に持ち込んで発送するために、時間、手間、労力、郵送料がかかりました。それを考えると、Amazon.frから日本に直接送った方が楽です。日本に配送不可なものもありますが、キッチン用品、雑貨など、配送可能な商品も多いので、楽しいです。
Amazon.frから日本への配送方法は3種類あり、早くて数日、遅くとも半月以内で届きます。
送料は、基本送料 + (商品1個ごとの送料 または 1kg当たりの送料)で計算されます。急ぎでない通常配送(12〜15日)の場合、基本料金10ユーロ、1商品ごとに1,5ユーロです。
まとめ買いしない時は、仏語書籍が豊富な本屋さん
直輸入に不安がある・時間がない・数冊だけ欲しいなどの場合は、日本のオンラインショップで買うこともできます。
メジャーな本は、日本のアマゾンで買えることもありますが、フランス語の本の品数は、紀伊國屋書店ウェブストアの方が多く、マイナーな本でも見つかったりします。取り寄せ商品は(紀伊国屋が海外から取り寄せるのだと想像していますが)数週間かかることがあります。
・価格:「販売元:Amazon」になっている商品は若干安いこともありますが、紀伊国屋の方が安い場合もあります。
・Amazonの場合、しばらくお気に入りリストに入れて放置していると、販売元や価格が大きく変わったり、入手不可になったりします。Amazon Japanで入手不可となったものを紀伊国屋で探すと、取り寄せで入手可能なことがよくあります。
フランスのサイト(Amazon.frなど)でプレビューできる本もありますがあ、手にとって選んで買いたい時は、新宿タカシマヤ タイムズスクエアにある「Books Kinokuniya Tokyo 洋書専門店」がおすすめです。
東京・飯田橋の仏語書籍専門店「欧明社」の本店も、その近所にある日仏学院店も、多くのフランス語書籍がコンパクトな店内にぎゅっと詰まっているステキなショップですが、「Books Kinokuniya Tokyo 洋書専門店」は広いので、ゆったり試し読みして選べてお気に入りです♡ エスカレーターあたりからワクワクし始めます。行く前に、気になる本を紀伊国屋書店ウェブストアのお気に入りリストに入れておくと、探しやすくて便利です。
英語以外の洋書がたくさん揃っている実店舗はとても貴重なので、欧明社もBooks Kinokuniya Tokyoも、末永く続いてほしいです✧
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