「マフラーを鏡見ながら何度もきれいに結び直したり、ヘアスタイルに毎日すごく時間をかけたりする日本人を見たことあるんだけど、なんであんなに真剣にやるのかな?」
とフランス人やスイス人などに聞かれたことがあります。
確かに、フランスや周辺国の人と比べると、日本人は平均的に美容にかける時間が長く、毎日髪を巻いたり、じっくり丁寧にセットしたりする人の数は男女ともに多いと感じます。
マフラーはみんなパパッと巻いているものだと思っていたので、そうなの?と思いましたが、巻き方動画(http://machi-log.jp/st/feature/muffler/)などでちゃんと学んで巻く人もいるのでしょうね。
それで思い出したのは、折り紙や、書道や、和服の着付け。
折り紙は、マニュアル通りきちんと折った方がきれいに仕上がりますし、
書道の授業も、字がうまい子以外は、とりあえずお手本を見て真似するように言われます。
和服の着付けやたたみ方も、最初はひたすら教えられた通りにできるよう練習します。
和服独自の基本ルールや価値観を知らないと、和装的に野暮とされる着こなしになったり、着崩れたりしかねませんので、学んで身につけるのが近道です。
例えば、子供は襟と首の後ろがくっついていてもいいけど、大人の女性は襟を抜く(襟と首の間に隙間を開けてうなじを見せる)というのはお決まりのポイントです。
また、できるだけ寸胴体型っぽくするのも基本。女性はバストを和装ブラやサラシで潰し、ウエストやお尻の上などにタオルなどを入れて、まっすぐな筒を目指します。
温泉浴衣みたいにさらっと着た方が涼しいはずなのに、タオル・下着・浴衣・板・ひもやベルト・帯(ぐるぐる巻き)を重ね着するわけですから、見た目とは裏腹に暑いし重いし、脱ぎ着の時間もかかります。
一見実用的ではない気がしますが、その方が綺麗に仕上がり、着崩れもしにくいという知恵です。
凹凸が大きい方がいいとされる水着や洋服の時の価値観と逆ですから、知らなければ帯でウエストを締めてしまいそうですよね。
茶道は、師匠に習って10年以上かけてやっと一人前になると聞きますが、
日本伝統文化には、先人たちが培ってきたカタをまず時間をかけて習得し、しっかり身についたらアレンジできるようになる、というものが多いイメージがあります。
フランスのテレビに”Katas”(du karaté)がダンス感覚で取り上げられているのを見たことがありますが、空手も型(形)を学びますね。
ファッション、メイク、ヘアスタイル、ライフスタイル他いろいろな点で、流行や、理想的な模範に近づくため時間をかける日本人が多いとすれば、
そういう昔からの文化・習慣の影響もあるのかもしれないなと思います。
マフラーや髪型も、鏡の中の己に精神集中してカタを極めんとしているのだと思うと、なんだかサムライみたいでかっこよく思えてきますね。
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